MakerDAOから学ぶDAOとガバナンストークン | ブロックチェーン留学ブログ

Yosuke
6 min readSep 7, 2020

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こんにちは!

プロジェクトの関係上、急遽マルタ共和国で、 マルタ政府のブロックチェーン実装に協力 することになりました。

本来筆者が携わっているプロジェクトはアメリカ、コロラド州なのですが、コロナウィルス感染症の影響で推進が延期になってしまい、

大学院の授業もオンラインに移行ということで、教授に相談したところ

「ブロックチェーンアイランドに行ってきな」

という謎のアドバイス。どこ?笑

というわけで非金融を中心に活動していたのですが、金融分野についても慌てて勉強を始めている最中です。

今回はその中でも世界で注目を集めているMakerDAOとそのガバナンストークンについてアウトプットしていきます!

ぜひ業界にお詳しい方、ご指摘等いただけると勉強になるのでコメントください!

ガバナンスとは

ガバナンスとは、管理・支配を意味する言葉です。

ビジネスの世界では 最終的に人々に影響を与える決定に関するもの を指します。(ここでいう人々はステークホルダーなんて言われますね。)

ガバナンスとは広義の意味で、決定の正当性、意思決定プロセス、規範、およびその他の調整メカニズムの確立、維持、取り消しが含まれます。

つまり、ガバナンスの参加者がその意思決定を社会実装する、または意思決定プロセス、調整メカニズムを使用するという共通の認識がある場合それは「正当性がある」とされます。

ブロックチェーンのガバナンスでは、様々な参加者が競合することになり、この意思決定に至るまでのプロセスや、調整するメカニズムを独自に確立し、維持していく必要があります。

ブロックチェーンにおけるガバナンス

ブロックチェーンは分散システムで、基本的にコンセンサスプロトコルです。

つまり、ネットワーク内のさまざまなノード(参加者)で互換性のあるソフトウェアを実行する必要があります。

通常ブロックチェーンに依存し、ブロックチェーンプロトコルを管理する「ブロックチェーンコミュニティ」があります。

ここのコミュニティにはプロトコルを実行する、ノードの所有者と管理者(ノードオペレーター)も存在します。

ですが、ブロックチェーンコミュニティがそのブロックチェーンを管理するためには、何らかの形で調整する必要があります。これは少なくとも、ノードオペレーター、開発者、およびユーザーが調整する必要があります。

特にコアデベロッパー、ノードオペレーター、商標のユーザーではなく、多くの参加者や利害関係者を含む多様なエコシステムを形成する大きなコミュニティが存在する場合、管理が大変なんですね。

さらに利害関係者となると、ブロックエクスプローラーやその他の低レベルのサービスプロバイダー、取引所、投機家、アプリケーション開発者、ユーザー、ジャーナリスト、パッシブオブザーバーなどが含まれます。

例えば、

コア開発者 = ソフトウェアのリリース方法を選択

ノードオペレーター = 実行するソフトウェアを決定

商標ユーザー = ブロックチェーンの商標の使用方法を決定

通常この辺は意思決定者が決まっているのですが、特に大規模なブロックチェーンコミュニティは、これらの決定に関してプロセス、規範、調整メカニズム、および政治については何も述べていない事が多いです。

こういったコミュニティ内の不透明な意思決定を、分散的に透明性を持って行おうといった考え方がブロックチェーンにおけるガバナンスです。

MakerDAOのガバナンストークン

MakerDAOでは、方針決定やロードマップの策定といった意思決定を、特定の管理者ではなく 自律分散的 に行なっているのです。

この仕組みを、 DAO (Decentralized Autonomous Organization:自律分散型組織)と呼びます。

MakerDAOの場合、ガバナンストークン「MKR」が設計されており、意思決定に投票する際にはMKRが必要になります。

つまり、MKRの保有量が多い人ほど、MakerDAOにおける意思決定に大きな影響を及ぼすことができるのです。

なお、議論に参加するだけであれば、MKRは必要ありません。

フォーラムで議論されたテーマに対し、実際にコミュニティ内で 意思決定を行う際の投票 にMKRが使用されます。

もちろん、ステークホルダーによる適切な管理が自律分散的に実行されるよう、予めトークンを設計する必要があります。

MakerDAOの投票方式

MakerDAOには、「Governance Vote」と「Executive Vote」の2種類の投票方式があります。

Governance Vote

Governance Voteは、 MKR保有者による決議が必要な重要事項について決定 する際に用いられます。

プロジェクト全体として、 今後の運営方針 の議論もこの投票方式で行われます。

Executive Vote

Executive Voteは、Governance Voteで決定した事項を システムに反映するために、具体的にどう実行していくかを決定 する際に用いられます。

これら二つの投票方式の関係性としては、Governance Voteで事前の未来予測、Executive Voteでアクションを決定といった区別があります。

MakerDAOの応用&筆者考察

今回はMakerDAOを例にとって、ガバナンストークンやDAOについてまとめてみました。

MakerDAOはDeFiのパイオニア的存在であり、融資サービスを展開しています。

ガバナンストークン「MKR」の保有者は ほぼ毎週、融資にかかる費用や貸し手の収入などを管理する指標の変更について投票 しています。

こういったガバナンストークンの流れはコンパウンドにも応用されており、今後さらなる普及が見込まれます。

そもそものガバナンストークンへの考え方としては、OSSをフォークすると、様々なマーケティング、開発者を集めるコストがかかるので、オリジナルのOSSのへの投票や開発方針について発言力を持ったほうが良い、つまりはトークンを保有したほうが良い、という流れのほうがしっくり来ております。

ご意見いただけると勉強になるので嬉しいです!

Originally published at https://ryuugakublog.com on September 7, 2020.

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Yosuke
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Written by Yosuke

アメリカ大学院留学生。CS専攻。SDGs目標達成へ国連主導組織「Learning economy 」ブロックチェーンを活用した21世紀型教育プラットフォーム「C-Lab」の学生研究員。海外でのCSやブロックチェーン、留学の学びについて発信します。9月〜マルタ大学院で学生研究員🇲🇹

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